地震防災フォーラム2022

― 先進技術による地震・インフラ動態モニタリングの現状―

開催報告

 

主催 : 関西地震観測研究協議会(関震協)

協賛 : (公社)土木学会関西支部 / (公社)地盤工学会関西支部 / (公社)日本地震学会 / (公社)日本地震工学会 / (一社)建設コンサルタンツ協会近畿支部 / (一社)日本建築学会近畿支部 / 関西ライフライン研究会 / 特定非営利活動法人 リアルタイム地震・防災情報利用協議会

後援 : (一社)日本建築構造技術者協会関西支部

日時 : 2023年1月24日(火) 10時〜12時

場所 : Web実施

参加者: 74名

 

[ 司会 : 向井洋一(関震協広報分科会副主査) ]

1. 開会挨拶 岩田知孝 (関震協座長)

      

2. 「関震協の取り組みの現状」 赤澤隆士 (関震協事務局)

      

3. 「サイバーインフラのための革新的計測・情報処理技術の最新動向」 水谷 司 (東京大学生産技術研究所)

   水谷准教授から,インフラのメンテナンス技術として研究室で開発を進められている構造物内部を透視するレーダーの処理技術とトンネル壁面の状態などの可視空間を三次元化するレーザーの処理技術についての最新研究が紹介された.前者のレーダーの処理技術については,電磁波レーダーを搭載した車両を高速道路で走行し,レーダー画像の学習信号処理によって地中の埋設管や橋梁内部の異常を検出する技術が開発されている.後者のレーザーの処理技術については,点検車両に搭載したモバイルマッピングシステムの3次元点群データから解析学的信号処理を行うことで,点検要領で求められている精度以上の路面損傷を検出する技術が開発されている.これらの技術の特徴として,長い道路上の時空間のビックデータの中からリアルタイムに早く損傷を検出するために,評価領域を制限することや事前に損傷のスペクトルを準備しておき,スペクトルマッチングさせるなどの処理方法によって,車両に搭載したノートパソコンにより現地で損傷検出できることを念頭にして開発されていることが印象的であった.(記録担当:鍬田泰子 (関震協広報分科会:神戸大学))

       

4. 「光ファイバケーブルを用いた国道9号沿いの振動観測」 宮澤理稔 (京都大学防災研究所)

   宮澤准教授より,光ファイバケーブルを用いた分布型音響センシング(Distributed Acoustic Sensing : DAS)による振動観測事例が紹介された.国交省が管理する河川・道路管理用光ファイバのうち民間にも開放されている区間を利用した観測で,京都市〜京丹波町の一般国道9号線沿いに敷設された約50kmである.国道9号線を選定した理由は,亀岡市近辺での群発地震や,京都西山断層帯を跨ぐこと等を考慮してとのことであった.発表では2021年9月18日にケーブル直下で発生したM2.8の地震について,京丹波町側と京都駅側とに歪波動が伝播していく状況が紹介された.また,2022年9月18日に台湾で発生したM7.3の遠地地震についてもフィルター処理により表面波の伝播が確認できたことが報告された.国道沿いの光ファイバケーブルを利用したDASによる振動観測は,ケーブル走行方向の一成分の歪みの計測であるが広域な振動を連続観測できることから,K-NETや関震協等の観測データとの補完により,地盤構造解析やインフラ構造物のモニタリング等への展開が期待される.(記録担当:吉澤睦博 (関震協広報分科会:株式会社竹中工務店))

       

5. 閉会挨拶 後藤浩之 (関震協広報分科会主査)

      

    

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