地震防災フォーラム2016

− スーパーコンピュータによる地震被害評価と災害情報共有・利活用の現状とこれから −

開催報告

 

主催 : 関西地震観測研究協議会(関震協)

協賛 : (公社)土木学会関西支部

(公社)日本地震学会

(公社)地盤工学会関西支部

(一社)日本建築学会近畿支部

(一社)日本地震工学会

(一社)建設コンサルタンツ協会近畿支部

関西ライフライン研究会

特定非営利活動法人 リアルタイム地震・防災情報利用協議会

後援 : (一社)日本建築構造技術者協会関西支部

日時 : 平成28年1月15日(金)13:30〜16:50

会場 : 建設交流館 グリーンホール(大阪市西区立売堀2−1−2)

参加者 : 84名

 

1. 「スーパーコンピュータを利用した構造物と都市の地震シミュレーション」

堀宗朗(東京大学地震研究所 教授)

    スーパーコンピュータの計算パフォーマンスは,近年指数関数的に向上しており,並列計算によりスピードを高めることができる一方,計算には必ず必要となるプログラムについては,スケーラブルな計算性能が要求され,かつ,持続可能性と品質保証(予測がきちんとできること)が重要であることが説明されました

    解析事例のひとつとして,E-defense と協働で実施している構造物シミュレーションを紹介いただきました.コンピュータが進化したことで,全体をモデル化して一連で計算できるようになり,物理過程の再現だけで十分とは言えないかもしれないが,このような統合的なシステムが有用であることが説明されました.理学,工学,社会工学(地震動,構造物,被害想定)を組み合わせた,一体のシミュレーションが可能になり,個々の建物の振動や複合災害なども,都市全体での計算がなされており,これらの計算結果をもとにした,視線レベルの可視化映像の作成事例や,避難シミュレーションを組み合わせた被害想定の事例などについても紹介いただきました

    ご講演の最後に,スーパーコンピュータは大容量計算が可能だが,それを活かすためには,持続可能性があり品質が保証されたプログラム開発が重要であることが改めて強調されました.

記録担当:山内政也(広報分科会:応用地質株式会社)

 

 

2. 「連携と協働に基づく災害情報の共有と利活用」

臼田裕一郎(国立研究開発法人 防災科学技術研究所)

    冒頭に,タイトルについて,「災害情報の共有と利活用に基づく連携と協働」に変更する旨の説明から講演を始められました.災害情報共有の研究のきっかけとなった,住民による防災マップ(地域知)と自治体の専門家によるハザードマップ(専門知・経験知)との情報認識の齟齬を無くした事例が紹介されました.また,これらの知の連携と協働を実現するためのプラットホームとして公開されているeコミマップを取り上げ,地域主体で被害想定の対策を考え,避難計画を作成した事例についても紹介いただきました.

    続いて,自治体主体の災害対策本部を情報共有から支援した取り組みとして,平成27年関東・東北豪雨での対応が紹介されました.その結果,自治体同士でも情報連携できる危機管理クラウドシステムの必要性についての指摘がなされました.

    最後に,国主体の災害対応を情報共有から支援する新たな取り組みとして,SIP(戦略的イノベーション創造プログラム)の「レジリエントな防災・減災機能の強化」での取組を紹介いただきました.

(記録担当:吉澤睦博(広報分科会:株式会社竹中工務店))

 

 

    

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