地震防災フォーラム2010
−緊急地震速報の導入事例と将来的展望−
開催報告
主催 : 関西地震観測研究協議会(関震協)
協賛 : (社)土木学会関西支部
(社)日本地震学会
(社)地盤工学会関西支部
(社)日本建築学会近畿支部
日本地震工学会
(社)建設コンサルタンツ協会近畿支部
関西ライフライン研究会
(社)日本建築構造技術者協会関西支部
特定非営利活動法人 リアルタイム地震情報利用協議会
日時 : 平成22年1月8日(金)13:30〜17:00
会場 : 建設交流館 グリーンホール(大阪市西区立売堀2−1−2)
参加者 : 148名
1.開会の挨拶
堀家正則先生(大阪工業大学 工学部 教授,関西地震観測研究協議会 座長)
緊急地震速報について,どういう情報を発信するか,どのように利用していくかについてまだまだ問題があるとのご指摘がありました.また,今回のフォーラムをきっかけに緊急地震速報を活用した防災意識が高まればと期待しているとのお話がありました.
2.「関西地震観測研究協議会2009年活動報告」
赤澤隆士(事務局)
関震協の地震計による地震観測の状況と観測記録に関する報告,リアルタイム通信対応型データロガーの導入に関する検討報告と今後の予定について報告がありました.
3.「Earthquake Early Warning (EEW)の現状について」
金森博雄先生(カリフォルニア工科大学 名誉教授)
金森先生は,マグニチュードと地震の性質についての正しい理解を例にとって,地震学とエンジニアリングとのコミュニケーションが大事であることを指摘されました.また,地震速報をより良いものとするためにも地震学とエンジニアリングの連携が重要であること,地震学者として地震速報に力を入れていきたいとの力強いまとめの言葉をいただきました.講演では,全般に多くの観測記録を踏まえて分かりやすくお話いただきました.
4.「社会の足下とバラ色に見える緊急地震速報のバランスは?」
福和伸夫先生(名古屋大学 環境学研究科 教授)
福和先生は,緊急地震速報そのものが重要なのではなく,それによって地震に対する直前の対処行動を促すこと,事前の備えの行動を促すことが重要であることを述べられました.また,そのためには現実感をもつことが重要との観点から,様々な「見える化」の例をユーモア(皮肉?)をまじえながら講演していただきました.多少なりとも地震防災に関わる立場の私にとっては少し耳の痛い話でもありました.
5.「緊急地震速報とオンサイト地震計併用システムの運用実績」
高松謙一氏(沖エンジニアリング株式会社)
講演では,宮城地区の半導体工場における地震防災の取組みについて実例をもとに詳しくお話していただきました.中でも,緊急地震速報のみならずオンサイト地震計による地震情報の精度向上への取り組みと,その情報にもとづく地震対策の効果と検証についてお話いただきました.全てがリアルな実例であり貴重な講演であったと思います.
上林宏敏先生(京都大学原子炉実験所 准教授,広報分科会 主査)
各講演の振返りと関震協の変遷の紹介があり,合わせて今後は一般の方々へも活動の成果をPRしていきたいというお話がありました.
全体に質疑応答も活発で非常に有意義なフォーラムであったと思います.
文責 : 住田賢二氏(応用地質株式会社(株),広報分科会委員)
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